忘れたわけではないけれど、
だんだんいつのことかわからなくなってくる。
今と昔がごちゃごちゃに。
町ごと流され、両親と祖母が亡くなって5年が経つ。
早いな。
朝の番組で、リポーターがわたしの町から中継していた。
お義母さんに教えた。
「あのガソリンスタンドの近くが我が家です」
お義母さんは息子に教えていた。
「あれがお母さんの生まれたところ」
息子は、テレビではなくお義母さんを見つめてた。
津波がすべてをさらっていった。
処理に翻弄され、感情を隠して、やっと呼吸していた。
毎月岩手に帰っていた。
自分よりも苦しい人、悲しんでいる人はいる。
東京にいた自分は、被災者と名乗っていいのだろうか。
人に囲まれていても、違う世界にいるみたいだった。
肌はボロボロだった。
よく授業していたと思う。
生かされているから生きなければ。
自分を大切にしようと思えるのに1年。
人に心の中まで話せるようになるのに3年。
「わたしはさびしい」と気付くのに4年。
そう、そんなにかかった。
そうしたら、大きな変化が起きた。
友人と付き合うことになり、結婚することになり、息子が生まれた。
新潟にいる。
今、しあわせいっぱい。
息子、父ちゃん母ちゃんに抱っこしてもらいたかったな。
それだけ心残り。
でも、いつも見守ってくれているものね。
ありがとうね。
今までも、これからも。
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